グリッドスペーサーによるヤケド-冷却ジェルの有用性について-
私は光治療のヤケド対策としてグリッドスペーサーを開発しましたが、
それを使用すれば100%ヤケドが起きなくなるというわけではありません。
グリッドスペーサーがヤケドのリスクを減らす理由は、ハンドピースのガラス面と皮膚の距離を常に2mmに保ち、
その隙間の冷したジェルを置くことができるからです。
ヤケド軽減の主役はあくまでも冷したジェルであってグリッドスペーサーではありません。
極端に言えば、ジェルをつけずにグリッドスペーサーだけではヤケドは必発です。

グリッドスペーサーができあがったときに受けた質問で一番多かったのが、グリッドの真下の皮膚の効果が無いのではないかというものでした。
レーザー光線のような直進光ではないし、透明とは申しませんが光の透過性はありますので、少しは効果が減るかもしれないが、
致命的なものではないであろう、グリッドの真下部分に「田んぼのあぜ道」のように毛が生えてくることはなかろうと考えていました。
光が弱いのであれば、少なくともグリッドの真下ではヤケドは起きないであろうと考えていました。

グリッドスペーサーを使用している施設は現時点で100軒くらいあります。
それくらいの数になりますと、いろいろなトラブルにも遭遇します。
写真は、フィシオフラッシュのパルス幅10ミリ秒での最高出力で
腕(ヒジのすぐ下)を照射して2箇月後です。
分かりづらいのですが中央部分にグリッド状の色素脱出がみられます。この程度でしたら半年くらいで消えるとおもいます。

同じくフィシオフラッシュのパルス幅10ミリ秒、7ジュールでのビキニラインの照射後です。
グリッドの真下がヤケドしているのがはっきりとわかります。
予想に反してヤケドは光のエネルギーが弱いと考えられるグリッドの真下で起きています。
グリッドの真下は熱を吸収してくれるジェルがありませんからヤケドしやすいということが分かりました。
実践してはじめて分かりました。おもしろいですね。
この2例は冷したものではなく室温保存のジェルを使用し、またテスト照射も行なわなかったとのことです。
テスト照射していればヤケドは未然に防げたはずで、原則どおりに行なうことの大切さがわかります。
(ちなみに私のところでは施術前と後に2回テストを行なっています。
照射後にもテストを行なう理由はこちらを御覧ください。)
テストのことはさておいて、室温のジェルではなく冷したジェルを使っていればヤケドは軽かったであろうかが気になるところです。

冷したジェルと冷していないジェルの比較実験を腕で行なってみました。
これはテスト前の写真で、実験台は私です。
(本業であるピアスの仕事で暑い国に行ったばかりなので相当に日焼けしています。遊びに行ったのではないのに、
「いいおもいをしたのだから我慢してヤケドしてもいいんではないですか」と言うスタッフの言葉に後押しされての実験です・・・)
出力は、私が考えたコスモライトの推奨設定にしたがって、
13.5J、15.5J、そして最高出力の17.5Jとしました。Wというのが暖かいジェル、Cというのが冷したジェルで照射する部位です。

温度を測定したところ、室温保存のWは24℃でした。
これを氷水に30分ばかり浸けておくと、右のように10℃までさがりました。

ジェルを塗ったうえで実際の体表温度を測定してみました。
室温ジェルでは28℃、10℃に冷えたジェルを塗っても体表温度は24℃程度にしか下がらないことが分かりました。

これはテスト照射直後です。意味のある写真ではありませんが、まあ参考までに載せました。
W側の痛いことといったら・・・、涙がでそうでした。

15分後です。
13.5JのCではヤケドしませんでしたが、Wではヤケドしました。同じ出力であれば明らかにWのほうのヤケドが強いです。

1時間後です。差がはっきりしてきました。

30時間後です。

3日後です。
グリッドの部分だけがカサブタになっています。
グリッドスペーサーを使用せず、
コスモライト本来の方法でハンドピースのガラス面を皮膚に押しつけて照射していれば、
グリッド以外の部分を含めて全体的にカサブタができていたと推測されます。

7ヶ月後です。
白丸の中で色素脱出(白斑)が残っているのがわかりますし、矢印の部分ではグリッドの形で色素脱出があります。
ヤケドの跡は色素沈着(シミ)が起きるのが普通ですが、逆にこのようになることもあります。
理由はこちらを御覧ください。
ところで色素脱出した部位でも毛が生えてきています。ヤケドしても脱毛はできなかったということです。
結論します。
グリッドスペーサーは安全度を高めるものであって、安全を保証するものではありません。
1) 可能なかぎり冷したジェルを、皮膚ではなくグリッドスペーサーに着けて施術する。
2) パルス幅は20ミリ秒~40ミリ秒で、出力を何段階か変えて必ずテストを行なう。
最低でも、この二つの事は守るべきです。それぞれの機械のページに載せてあることですが、
こちらの施術の実際を御覧ください。
2004年8月2日
渋谷高橋医院 院長
高橋知之






















