レーザーピーリング
皆さん御存じのように脱毛用にはアレキサンドライト、ダイオード、ヤグというようなレーザーが用いられています。
これらは黒い色素にエネルギーが集中するのが特徴です。
黒い毛根にエネルギーが集中してそれを破壊するのであれば「シミ」に照射しても効果があるはずです。
現実に「シミ」のある皮膚に脱毛目的でレーザーを照射して「シミ」の部分に火傷(ヤケド)をおこすことがあります。
ところが副作用として「シミ」に火傷(ヤケド)がおきるからといって、意識的に脱毛用レーザーで「シミ」を取ることは難しいです。
脱毛レーザーは「白」の中にはっきりとした「黒」があるときに有用なのであって、「白」の中の「薄い灰色」を識別することは苦手なのです。
無理に「薄い灰色」を破壊しようとすると「白」の部分まで破壊してしまうのです。
脱毛用に広く使われているGentlelaseというアレキサンドライトレーザーがあります。
実は販社は脱毛用ではなく色素性疾患(シミ)の治療用として 厚生省から承認を受けて医療機関に販売しているのですが、
私はこの機械を「シミ取り」に使用しているクリニックの話を聞いたことがありません。
「シミ取り」用に導入しても実際には期待程には取れないのかもしれません。
そのためかどうか、導入しているクリニックの殆どは脱毛に転用しているようですし、
最近では販社の意図に反して最初から脱毛用として導入するクリニックも多いようですが脱毛用にはパルス幅(レーザー1発の持続時間)が1000分の3秒と短すぎてこれまた問題ありです。
(こちらを御覧ください。
脱毛用でないと言って販売しているのですから脱毛できなくても販社に非はないと私はおもっています。念のため)
色素性疾患(シミ)の治療用と銘打って販売しているGentlelaseでも中々うまくいかないのは「白」と「薄い灰色」のを識別が難しいからです。
識別が難しければどうにかして感知の精度を上げようと試みるのが普通の考え方でしょうが、
結果的には上げられなくて今に至っているのでしょう。
医療に限らず、問題がおきたとき壁にぶちあたったときには発想の転換が必要です。
私はレーザー工学には素人なので「白」と「薄い灰色」がもっとはっきり区別できれば機械の精度を上げなくてもよいと考えました。
難しい話ではありません。取りたい薄いシミを一時的に濃くすればよいのです。

(拡大写真はこちらをクリックしてください)
簡単なことです。照射前に黒く塗りつぶすだけです。この写真でお分かりのようにとてもきれいに取れます。 (最終的な結果を左右するのは数ヶ月間の紫外線対策です。その後の通院がないのでお見せできないのが残念です)

(拡大写真はこちらをクリックしてください)
この人も同じです。「不満が有っても無くても1週間後に見せにきてください」と言ったのですが、 「問題ありませんです」と電話があったきりです・・・。
この「シミ塗りつぶし照射」とでも言うべき方法は、実は3年前からはじめているのですがあまりに単純な発想なので学会にも発表していませんし、
このHPでもあえて書きませんでした。
おもしろいアイデアではあるけれど学問的に価値があるとはおもえなかったからです。
「シミ塗りつぶし照射」では薄皮1枚ぺろっと剥けますから ある程度の面積があるシミに著効しますが、
「そばかす」のような点在するものには向いていません。
ほっぺた全体がぺろっと「ズル剥け」になったら大変なことです。
「ズル剥け」ではなくケミカルピーリング的に薄く全体を剥きたいときにはどうしたらよいのでしょう。
エス・エル・ティジャパンというレーザーメーカーのアイデアです。真実はいつも単純です。
皮膚表面を塗りつぶすのではなく真っ黒なカーボン(炭素)をジェルに溶かして皮膚に塗ってその上からレーザーを照射するという発想です。
ジェルの濃度をコントロールすることによって剥ぐ厚さもコントロールできます・・・・。なんと単純明快な発想でしょう。
(私がおもいつかなかったことだけが悔やまれます)
システムを紹介しましょう。

機械は波長が1064ナノメートルのヤグレーザーです。
ヤグレーザーは非常に応用範囲の広いレーザーで、「いびき」の外科手術(ノドチンコの切除)というものを聞いた人もいらっしゃるかもしれませんが、
それに使用されているのもこの機械だそうです。
切断用の外科メスのかわりに使用する場合には狭いスポットサイズのレーザー装置が便利なのですが、
スキンケアの場合には逆に広いスポットサイズが求められます。

これがスキンケア用のハンドピースで、とても軽くてコンパクトです。

ハンドピースの皮膚接触面ですが、緑の矢印で示したブロックの片隅の黄色い円で囲んだところにレーザー光線がでるファイバーの先端が見えます。
1発だけ照射すると(皮膚接触面の片隅からレーザーがでますので)右のような形状のスポットとなります。
緑の矢印で示したブロックを高速回転させながら照射するというのがアイデアです。ユニークですね。

1分間に3642回転させながら 1秒間に1発 ~ 1秒間に10発 という設定でテストしてみました。

上段中央はそれぞれ1秒間に2発ですが回転のずれで照射された形状が異なります。
下段左の1秒間に4発の場合でも同様なずれが見られます。1秒間に10発照射するとほぼ均一な直径8ミリの円形スポットができあがります。
重要なことなのですが、例えば上段左の1発だけ照射された部分は回転中に必ず重複照射されます。
回転させながら10発照射すれば同一部位に2~3回の重複照射がおこなわれるはずです。
これは「光美顔術」で大ブレークしているフォトフェイシャルでの「Pulse Delay」という考え方に通じるものがあります。
「Pulse Delay」というのは照射の間の「中休み」のようなもので、これがなければフォトフェイシャルはありえないほど重要な仕組みです。
こちらを御覧ください。

すこし実験をお見せしましょう。
左は食品用のラップフィルムをマジックインクで塗りつぶしたもので、このページの冒頭でお示しした「シミ塗りつぶし照射」と同じと考えてください。
それに照射したのが右側です。なんとラップフィルムは炎をだして燃えてしまいました。

今度はカーボンを混ぜた濃いめのジェルをラップフィルムの上にのせてレーザーを照射してみました。
結果は右のようにラップフィルムには軽度の損傷がみられました。このラップの厚さはメーカーによると20ミクロン程度だそうです。

更にカーボンジェルの濃度を下げてみました。そうするとラップフィルムには損傷がみられませんでした。
この実験から言えることは、カーボンジェルの濃度をコントロールすると非常に正確なピーリングが可能となるということです。

実際の照射例です。冒頭のような「ズル剥け」にならずに取り除くことができました。
ケミカルピーリング的に使用した場合には、皆さん全員が「ツルツルして化粧のノリがよくなった」とおっしゃるのですが写真に写らないのでお示しできないのが残念です。
レーザーを使った美顔術ではフォトフェイシャルとフォトリバースがあります。
両者の原理は同じで、黒い色素と赤い色素の両方に吸収される波長の光を皮膚に照射して悩みを改善しようというものです。
両機種とも最近になって普及しだした新治療です。本ページを書いている現時点で100台弱のフォトフェイシャル、
20台弱のフォトリバースが国内で稼働していると推測されます。
そういう事情ですから、両機種を単一施設で使用比較した経験があるのはおそらく渋谷高橋医院がはじめてではないかとおもいます。
その経験からですが、効果と副作用については両者に大きな差はないようにおもいます。
両者とも数回の照射で相当な改善がなされ、また照射後すぐに化粧ができますので、この「光美顔法」は美容革命と言っても過言ではありません。
高い評価を与えたうえで、フォトフェイシャル・フォトリバースにできないことを考えてみましょう。
光線のターゲットは黒い色素と赤い色素ですから、どちら の色素もない肌質の改善は不可能です。
「綺麗な人はより綺麗に、そうでない人はそこそこに・・・」ではなく、シミも赤みも少ない人が「より綺麗」になることはできないのです。
カーボンジェルを使ったレーザーピーリングは赤い色素や黒い色素に関係なく皮膚表面を薄く削る技術です。
フォトフェイシャル・フォトリバースと併用することによって「綺麗な人はより綺麗に、そうでない人も十分に綺麗に・・・」ということが実現するわけです。
(カーボンジェルでは赤みは取れませんからフォトフェイシャル・フォトリバースと併用する必要があるのです)
この技術が進化してレーザーピーリングと赤み・シミが同時にできるフォトリボーンができました。
こちらを御覧ください。
2002年2月1日
渋谷高橋医院 院長
高橋知之






















