レーザー出力
永久脱毛が可能な出力は毛の太さによって異なります。
産毛についてにも書きましたが、
太い毛では14ジュールくらい、産毛になると40ジュールくらいの出力が必要です。
この数値はあくまでもダイオードレーザーの場合です。波長が短いレーザーほど黒い色に吸収されやすいので弱い出力で高い効果がでます。
アレキサンドライトレーザーの波長は755ナノメートル、ダイオードレーザーは800ナノメートルですから
同じ出力ならアレキサンドライトレーザーの方がより高い効果がでることになります。
(レーザーの深達度が低いので効果は相殺され、皮膚表面の火傷(ヤケド)の危険も高くなりますが・・・)
改訂前の光脱毛機の話の中で 「現時点で、永久脱毛が可能な機械は、ダイオードレーザーとロングパルスアレキサンドライトレーザー、それに(一部の)光脱毛機だと考えております」 と書きましたが、ときどき、「ヤグレーザーの効果はどうでしょうか」という質問が寄せられます。
ヤグレーザーの波長は1064ナノメートルで、皮膚の浅層を通り抜けて深部まで届くので火傷(ヤケド)を起こしにくく脱毛効果が高いとメーカーは主張しています。 しかし、実際には永久的な効果がなかったという学会報告(波長1064ナノメートル、1発の持続時間100万分の12~18秒、 最高出力2 J/cm2のヤグレーザーを使って、 4週間後の脱毛率は92%、10週後は38%、16週後は9%であった。=日本美容外科学会会報1999年2月号=)もあります。
私は、出力が足りないために理論通りの効果がでないのではないかと考えています。

波長が長くなるにしたがって黒い色素へのエネルギーの集中度は低下していきます。この図はメラニン(黒い色素)へのレーザー吸収度を表わしたものです。
縦軸は対数表示なので数値を読み取りにくいとおもいますが、
1064ナノメートルのヤグレーザー(Nd:YAG)はアレキサンドライトやダイオードの4~5分の1という吸収度ということが分かります。
同じ効果をだすには、ヤグレーザーは4~5倍の出力が計算上必要なのです。
太いワキの毛の場合はアレキサンドライトやダイオードでは15ジュール程度でも脱毛できますが、
同じ効果をヤグレーザーでだすには60ジュール以上もの高出力が必要ということになります。
そして、これはあくまで脱毛できるかどうかの最低ラインの話なのです。
コヒレント社のダイオード機は強力な冷却装置が組み込まれていますので、フトモモや二の腕の細い毛も脱毛できます。
その場合には40ジュール以上もの強い出力を要します。これをヤグレーザーに置き換えた場合には160ジュール以上という計算になります。
「火傷(ヤケド)を起こさないし痛くない。しかし脱毛効果が見られない」ということは、今や、脱毛に関心のある医師の間では常識となっています。
結局は1064ナノメートルという波長を採用しているにもかかわらず、それに見合った出力を機械がだしていない(だせない)なのです。
医師の間では常識であっても、エステの経営者はそのような常識を持ちあわせていません。
業者の言うがままに購入して「痛くない」と広告宣伝しているのが現状なのです。
医療の世界でも電子技術の進歩は急速です。1年くらい前から冷却装置のついたロングパルスヤグレーザーというものが市場にでてきました。
Lyra Laser SystemやCooltouchVARIAなどです。
YAGLASEというのもあります。
CoolGlideという冷却装置が内蔵された機械については、 メーカーのHPに詳細なスペックが記載されていて、 普及機の最高出力は100 J/cm2のようです。 これは既に述べましたようにアレキサンドライトやダイオードに換算すると25 J/cm2程度です。 上級機のExcelでは300 J/cm2までとありますが、 レーザー1発の持続時間(パルス幅)を3倍にしたからであって機械のパワーが大きくなったわけではありません。 短すぎるパルス幅も問題ですが、やみくもに長くすれば効果が高まるというものではありません。 (同じダイオード機であるLightSheerとSLP1000のダイオード対決の結果をみてください)
半年くらい前に、これらのうちの1台が学会展示されていて試射する機会がありました。
(機械の名誉のためにあえて機種名はふせさせていただきます)
「最高出力に設定してください。自分の腕で試したいのです」といったのですが、「そんなに強くすると危ないです」とのことでした。
結局、60ジュールで毛のないところに1発だけ照射してみました。
結果は、とてもとても痛かったです。身悶えるくらいの痛みが10分くらい続きました。
火傷(ヤケド)は起きなかったことからも、ヤグの痛みはアレキサンドライトやダイオードとは違う種類の痛みであるということが分かりました。
脱毛できる適正出力で照射すると、冷却装置があってさえも激烈な痛みが発生するというのが結論です。
2001年6月10日
上記は、アレキサンドライトレーザーやダイオードレーザーとヤグレーザーはメラニンの吸収度が異なるので同じ数値では比較できないという趣旨で書いております。
最近、これとはまったく異なるトラブルがヤグレーザーで発生したという相談を受けました。はじめて聞いたトラブルです。
とても重要な問題をはらんでおりますのでぜひ御覧ください。
こちらです。
2001年7月17日
このページは長い間編集せずに放置してありました。
これを書いた当時は、レーザーは水にも吸収されるという事実を重く考えていませんでした。
今にしてみれば、ヤグレーザーは水に吸収されるので痛みは毛穴からだけではなく、皮膚全体から生じるから痛いのだと、よく理解できます。
詳しくは、本ページと同時に改訂したレーザー脱毛の原理をお読みください。
2006年7月29日
渋谷高橋医院 院長
高橋知之 記
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