グリッドスペーサーによる安全性の向上
本ページは、
光治療機 コスモライト(エリプス・フレックス)について -グリッドスペーサーが不要な理由を考える-
の続編です。
前もってお読みください。
そのページで私は「コスモライトは機械画面に表示された手順で操作すれば簡単に推奨標準出力を設定できます。
その設定どおりに施術するかぎりにおいては、とても安全で冷却ジェルもグリッドスペーサーも不要です。
推奨標準設定よりも強く照射する際にはグリッドスペーサーはあったほうがよい」と結論いたしました。
この販社はとても良心的というか太っ腹な会社です。「あったほうがよいのなら造ってください」という申し出をいただきました。
ここでグリッドスペーサーのおさらいをしておきましょう。

レーザー光線と光脱毛機で使うフラッシュランプからの光線は似て非なるものです。
レーザー光線は直進光ですから光源と受光面との距離に多少の差があっても受けるエネルギー量におおきな違いはでませんが、
フラッシュランプの場合は拡散光ですから距離の2乗に反比例して受けるエネルギー量は減弱していきます。(左図)
すなわち光脱毛ではレーザー脱毛にくらべてハンドピースと皮膚の距離を一定に保つということが大切なわけです。
コスモライトの基本的な使用方法はハンドピースを皮膚に接触させて照射するというものです。
そういった使用方法ではハンドピースの中の発光源であるキセノンランプから皮膚までの距離は常に一定です。(右写真)

光脱毛の原理を一言で言うと、
「皮膚の中の毛根にある大量のメラニンが燃えて、それに接する毛包にある毛の工場である幹細胞が障害を受ける」というものです。
光は皮膚を通過する際におおきく減衰します。
減弱しても毛根を燃やすだけのエネルギーがあるのであれば、減衰前の皮膚表面でのエネルギー量は相当なものでしょう。
ところで表皮にも少量のメラニンが散在しています。減衰した光で毛根を燃やせるだけのエネルギーがあるのならば、
少量のメラニンといえども、減衰前の光線には反応してヤケドしてしまうこともあるわけです。
日焼けしている人や色黒の人ではヤケドするリスクはよりおおきくなります。
皮膚表面がヤケドしないで脱毛できるというのならば、その程度のエネルギーで毛根を燃やすだけの十分なエネルギー量であるかどうか疑問です。
コスモライトで言えば、標準設定ではヤケドしないかわりに脱毛効果が今一つ物足りないということです。
当然ながら脱毛効果を求めて標準設定よりも出力をあげた場合にはヤケドのリスクが高くなってしまうということはお分かりいただけるとおもいます。
出力を高くしてもヤケドさせない方法があります。
表皮のメラニンは毛根のように「塊」ではなくパラパラと散在していますので個々のメラニンが燃えて発する熱量はおおきくありません。
おまけに発熱する場所は皮膚表面です。皮膚表面を冷しながら照射すればヤケドしないのです。
コスモライトには皮膚を冷す冷却装置がありませんから皮膚に冷した透明のジェルを塗って照射すればよいのです。
例え話をするならば、台所で調理中に手にヤケドした場合には皆さんどうしますか?
(1)氷水に浸す (2)冷えていない水に浸す (3)ヤケドした場所を窓ガラスに押しつける
答は(1)または(2)ですね。(1)がより良いでしょう。(3)を選んだ人はいませんよね。
コスモライトでの照射に戻りましょう。冷したジェルを皮膚に塗って、冷えていない照射ガラスを押しつけても効果はありません。
押しつければジェルの厚みは無いに等しくなり皮膚温ですぐに温められてしまいます。
すばやく照射したとしても発熱を吸収するだけのボリュームはありません。塗ったジェルには厚みが必要なのです。
そしてその厚みは、冒頭で説明しましたように、光脱毛の場合には常に一定でなければなりません。
その厚みを一定に保つ工夫がグリッドスペーサーなのです。

これが完成したコスモライト用のグリッドスペーサーです。
さて既に完成しているフィシオフラッシュや
フォトフェイシャル用のグリッドスペーサーの説明ページで
私が心配していることは、冷したジェルの循環です。
グリッドスペーサーのそれぞれの小区画にはいったジェルがいつまでもそこに留まっていれば、ジェルは暖かくなり冷却効果は半減してしまいます。
完成したグリッドスペーサーで最初に確認したのはこのことです。
肉眼ではっきり確認できるように、フォトリボーンで用いる灰色のプラズマジックジェルをグリッドスペーサーの中に閉じ込めたうえで皮膚に押しつけてみました。
灰色のプラズマジックジェルが外にでてくれば目論見は大成功です。その様子を動画で撮影しましたので御覧ください。
こちらです。
さてジェルの循環は確認できましたので、グリッドスペーサーを使った施術の手順を説明しましょう。
グリッドスペーサーを使用せずに施術する場合には、
(1)冷したジェルを照射する皮膚全体に塗る。
(2)ハンドピースを両手でしっかり持って、ガラス面と皮膚の間が2ミリを維持しているか覗きこむように照射する。
というのが丁寧な施術です。しかし広範囲にジェルを塗ってしまうと施術の最後の方ではジェルが体温で温められて冷却効果が損なわれてしまいます。
施術の最初と最後では条件が異なってしまうわけです。
これでは施術の標準化は達成されていません。手際のよい人と悪い人では違った結果がでてしまいます。
グリッドスペーサーを着けたハンドピースは皮膚に押しつけますので片手で操作ができます。
あいた片手で冷したジェルボトルを持つことができますので、照射ごとにジェルを皮膚にではなくガラス面に塗ることができるようになります。
ジェルは体温で温められませんので施術の条件がいつも一定となり標準化が達成できるわけです。
新人でもベテランでも手際の差はあっても結果は同じになるというわけです。
ではその施術の様子を動画で御覧ください。
こちらです。
なお、このデモでは施術するべき範囲を照射もれを防ぐために赤色でマーキングしています。
600ナノメートルをカットするフィルターの場合は問題ありませんが、
550でカットする美顔用のフィルターの場合は赤にも反応しますのでマーキングを使ってはいけません。
その美顔モードの場合ですが、皮膚を保護するためにグリッドスペーサーが必要なのは脱毛と同じです。

左はコスモライトの美顔モードで起きたヤケドの後遺症としての色素沈着です。
ヤケドから約4ヶ月が経過しており、いわゆる症状固定の状態です。
右はフォトリボーンを4回施行後4ヶ月目で、どうにか薄く目立たなくなってきました。
ヤケドそのものは軽症ですが場所が顔ですから脱毛でのヤケドよりも事態は深刻です。
グリッドスペーサーの使用は必須であると言えます。
そのことはこちらの美顔モードの検証で既に述べたとおりです。

念の為に図を変えて説明します。美顔モードでは脱毛モードよりも出力が低いですから、
(1)色白の皮膚であればシミの部分以外にはメラニンが少ないので、冷却ジェルがなくてもシミの部分だけに選択的に反応します。
*白の中の黒は簡単に識別できる。イラン戦争で、昼間は軍事施設だけを爆撃できました。
(2)色黒の皮膚であればシミの部分以外のメラニンが多いので、皮膚全体にヤケドしやすくなります。
*闇夜のカラスとまではいかなくても夕暮れ時のカラスは見つけにくいです。イラン戦争で、夜間では病院などを誤爆してしまいました。
(3)冷却ジェルを塗ればシミのある部分とない部分との発熱量は異なるので、発熱量の少ない部分はヤケドを防ぐことができます。
*おおきな建物の近くの小さな家では誤爆があっても延焼しないようにあらかじめ家の外壁に水をかけておくとよいでしょう。
(梅雨時には少ないですが、乾燥した冬場には山火事も多いです)
コスモライトは200台以上がすでに市場にでていますし、ほぼ同じ性能の機械がエリプス・フレックス(EllipsFlex)という名前で医療機関にもでまわっています。
グリッドスペーサーはこれらの機械による施術の安全性向上におおいに貢献すると確信しております。
最後に私が推奨する施術方法を述べて終りにさせていただきます。
コスモライトのパルス幅(光1発の持続時間)は1000分の18秒、25秒、50秒の3種類のパターンから選べことができます。
メーカーのマニュアルでは毛の太さに応じて使い分けるとなっていますが、常に1000分の18秒である「細」に固定してしまいます。
また、肌質は北欧系白人のタイプである「1」、日焼け度「なし」を選びます。要するにヤケドに対しては最もリスクの高い設定です。
ヤケドしやすいですが、ヤケドしなかったときには最も効果のでる設定にするわけです。
この設定から動かさずに、動かすのは「エネルギー強度」すなわち出力だけとします。
この場合のメーカーの推奨標準出力は13ジュールで、最高出力は17.5ジュールとなります。
すでにコスモライトを導入していて経験豊富なサロンスタッフからは「こんな過激なことをして大丈夫ですか?」という声が聞えてくるような気がします。

ボランティアの右ワキ照射5分後です。(撮影が早すぎた感がありますが) 推奨標準出力では殆ど反応が起きていません。
18ジュールでも不確実です。17.5ジュールでは毛穴の回りが赤く膨隆しているのが判りますし、ヤケドの心配もなさそうです。
そこで、左ワキを17.5ジュールで全照射してみました。痛みはそれほどでもありませんでした。

これは照射前、この人は脱毛施術を過去に受けたことはありません。

照射15分後です。ヤケドもなく殆どの毛穴で永久脱毛の指標となる赤みと膨隆が認められます。
この写真の右下部分を拡大してみましょう。

赤丸は脱毛効果が見られた毛穴、青四角は見られなかった毛穴です。太い毛ほど確実に反応しているのが分かります。
グリッドスペーサーを使った施術方法のまとめです。
1) 機械設定では、肌質「1」、日焼け度「なし」、毛質「細」を選ぶ。
2) 毛をできるかぎり剃った状態で、13ジュール~17.5ジュールの間で何段階かテスト照射し、15分後に観察して反応が認められた一番弱い出力で全照射する。
3) 施術後は冷したタオルで15分から30分くらい局所を冷却して修了。
この方法で行なうかぎり医師である私が施術しても新人のエステティシャンが施術しても同じ結果となります。
少なくとも誰が行ってもワキやビキニの太い毛は永久脱毛できると確信いたします。
2003年10月26日
文責者:渋谷高橋医院 院長 高橋知之 (E-mail: Tomoyuki@Takahashi.MD)
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