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光脱毛機 フィシオフラッシュ(パイフラッシュ)によるヤケド例の検証

あるエステサロンから「フィシオフラッシュでヤケドしたので診ていただきたい」と相談がありました。
サロンのオーナー氏は「丁寧なスタッフなのですがミスってしまいました・・・」と正直におっしゃいますが、私なりに検証して原因と対策を考えてみました。


光脱毛なりレーザー脱毛でのヤケドするのは、一言でいえば、皮膚が耐えられる以上の出力で照射するからです。 そしてその原因は三つです。すなわち、

1) 色黒であるとか毛が密集しているとかの皮膚側の問題
2) 出力や光線1発の持続時間や冷却方法など機の機械本体の問題
3) 機械設定を正しく皮膚に伝えることができるかという問題(械側の問題と施術者側の問題が混在します)

以上の三つです。
1番目と2番目は医療機関で施術してもサロンであっても脱毛の現場ではどのようにも解決できない問題ですが自分たちが行なっている脱毛の限界を知っていれば、 脱毛できないことはあってもヤケドすることはないはずです。 どのような機械であっても、その機械の最低出力で施術すればヤケドすることは絶対にヤケドしないと断言してもよいでしょう。 現実には脱毛できないことが解っていて施術するのは詐欺的行為ですので、そのようなことが行なわれてよいわけがありません。
「ヤケドしないのが当り前で、過失があったからヤケドした」という考えは理解はできますが、 脱毛の現場ではヤケドと背中合せに施術が行なわれているということを理解していただきたいものです。
ヤケドさせたから即医師法違反という考えには私は反対ですが、 ヤケドを容認しているのではありません。 現実に、私のクリニックでもときどきヤケドが起きており、否定するつもりはありません。
ヤケドが起きた際には「業務上過失傷害」として責任が問われるべきだと私は考えます。 自分に甘いと御叱りを受けるかもしれませんが、「ヤケド=業務上過失傷害」で追求され賠償責任が発生するというのであれば脱毛の仕事など不可能です。 開き直るのではありませんがどのような過失があったか、どの程度の過失があったかで取らざるをえない責任は変ってくるとおもうのです。 また誰が責任を取るべきかという責任の分担の問題も議論されなくてはならないとおもいます。
では、今回のケースを検証してみましょう。

ヤケドはA1~A4、B1~B6の10ヶ所で起きています。中間の緑枠のところでは起きていません。 担当者は緑枠のところも含めて満遍なく同じ出力で施術したはずです。 それが間違いなければ皮膚側の問題でも機械本体の問題でもないことは明白です。
そうすると、原因は機械設定が正しく皮膚に伝えることができなかったということになります。
光脱毛機からの光線はレーザー光線とちがって発光源であるランプとターゲットである毛根までの距離が常に一定に保たれている必要があります。 同じ出力設定でも近づきればヤケドしますし、離れすぎれば効果がなくなってしまうのです。 詳しくはこちらを御覧ください。
緑枠のところが適正距離であったか離れすぎていたのかは何ヶ月後か毛の生え具合をみないと判りませんが、 Aの部分とBの部分では結果論的には明らかに近づきすぎたと言えます。
B2とB3を御覧ください。二つのヤケドは連続していて境目がありません。ヤケドしたものの照射漏れはなかったということを意味しています。 他の部分ではヤケドとヤケドの間にはヤケドしていない場所があります。すなわち照射漏れがあったということです。 もし適正距離が保たれていたとしたら照射漏れによる脱毛効果の問題が生じていたはずです。
結論しますと、この施術者は光源と皮膚の距離を一定に保つことができず、また沢山の照射漏れを起しているということになります。 これは過失であることには間違いありませんが、施術者の不注意や怠慢によって生じたものではないと私は考えます。 私自身が施術してもたくさんの人に行えば相当な頻度で起すであろうという自信(?)があります。
ヤケドの被害者には申し訳ないですが不可抗力の過失であれば施術者の個人的責任の度合は相当に少ないのではないでしょうか。
このようなやっかいな問題を解決する手段として私は グリッドスペーサー を考案いたしました。 グリッドスペーサーをつければ少なくとも今回のヤケドは起きなかったと考えます。
おまけに、グリッドスペーサーをつけて施術すれば こちらのコメント でもお分かりいただけるように照射漏れもなくなります。

上の写真はB5とB6の部分の拡大ですが、B6のヤケドがB5の3分の2程度の長さしかありません。
B6部分は肘に近く皮膚の凹凸が激しいところです。 すなわち、発光源と皮膚の距離は最短部で適正に保つしかないのですが、 このような起伏の激しい部位ではほとんどが離れすぎてしまうことは簡単に理解できることです。 B6のヤケドが短いということは、この施術者は細心の注意を払って施行したと言えます。 技術的にはとてもしっかりした人であると確信します。
現時点ではグリッドスペーサーは開発されたばかりで殆ど普及しておりません。 このようなヤケドをみると早急に普及させるのが私の責務であると考えてしまいます。

ところで、このようなヤケドが起きたときの対処方法ですが、

1) できるだけ早期にステロイド含有の抗生物質軟膏をたっぷりと塗布し
2) そのうえからサランラップを巻き
3) タオルを置いてアイスノンなどで冷す

というのが最善の方法です。この人の場合は3~4日で赤味は引き、1ヶ月程度で後遺症を残さずに治るとおもいます。不幸中の幸いです。

光脱毛機を使って脱毛を行なっているサロンは日本全体では3000軒を超すと言われていますので毎日何万人もの人が施術を受けているはずです。 このようなヤケドで悩んでいる人がどれくらい発生しているかを想像すると恐ろしくなります。 グリッドスペーサーという解決手段を普及させるために私は PCA(光美容研究会) という組織を発足させました。 PCAを通じて連絡いただければヤケドなどでお困りの人には医療機関をも紹介させていただきます。

2003年9月6日
渋谷高橋医院 院長
高橋知之




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