光脱毛機 フィシオフラッシュ(パイフラッシュ)について
-グリッドスペーサーによる安全性の向上-
エステサロン用にフィシオフラッシュ(FisioFlash)という光脱毛機があります。
ちょっと前まではパイフラッシュという名前でした。フォトシルク(PhotoSilk)という名前で一部の医療機関も使用しているようです。

光脱毛機は一般的には、皮膚のヤケドを防ぐために、皮膚面と照射口の間をこのように少し(2mm)離して、

その隙間を冷した透明ジェルジェルで満たして照射します。
冷やしたジェルは皮膚表面で発生した熱を吸収しますが、毛根の周辺に発生した熱は深すぎて吸収できません。
その結果、毛根は燃えて回りの毛包を障害して永久脱毛をなしうるのです。
照射口のどの部分でも皮膚面との距離が常に一定であるのが理想です。
というのは、光エネルギーは距離の2乗に反比例して減弱していきますから、設定どおりのエネルギーが身体に伝わらないことになってしまうのです。

皮膚に触れるか触れないかの右端と大きな隙間のある左端では皮膚の反応は全くといってよいほど異なるでしょう。

これくらい極端になると、接触している左端ではヤケドが起きるかもしれません。
一部のメーカーでは「スペーサー」というプラスチックの枠を用意しています。

これを装着すれば照射口と皮膚面の距離は一定に保たれるはずだというアイデアです。

FisioFlashではAestiLightのように後付けではなく
最初からスペーサーがハンドピースに組み込まれています。すなわち写真の白い枠はガラス面よりも2mmだけ飛びだしています。
全国で300台弱のFisioFlashが出回わっているそうです。台数が多ければ当然トラブルも耳にします。
ヤケドしたというメール相談もときどきありますし、実際に治療にみえられた患者さんもいらっしゃいます。
ヤケドの原因は出力が高すぎたというよりも、照射ガラス面が皮膚に近づきすぎたという事例がほとんどではないかと考えています。

ハンドピースを皮膚に押しつけすぎると、図の上のように、枠の中央部で皮膚が盛りあがって照射口に近づきすぎてヤケドしてしまうのです。
解決策としては枠の中央部に格子(grid)を組み込むことです。詳しくはこちらを御覧ください。
安全を追求するのがメーカー及び販社の努めです。販社の要望と私の興味が重なって、FisioFlash用のグリッドスペーサーを造ることになりました。
この機種の場合の問題は、グリッドとガラスとの間にはいってしまったジェルはそこに留まってしまうのではないか?
フォトフェイシャル用のグリッドスペーサーでは
こちらのムービーで分かるようにジェルが循環しますが、
FisioFlashには冷却装置がついていませんから冷されたジェルが照射するにつれて循環しなければ実用化できないであろうという心配が設計段階からありました。


できあがったグリッドスペーサーです。
グリッドスペーサーの表面がもともとの白い枠と平らになるように厚みは2mmなのですが、グリッド自体の奥行きは1mmしかありません。
グリッドとガラス面には1mmの隙間を造っておきました。この隙間を通ってジェルが外に出て行かないかと期待したわけです。
恐る恐る実験してみることにしました。(もしジェルが循環しなければ、投下した時間・努力、それにそこそこのポケットマネーも水の泡です・・・)

グリッドとガラス面の間に封じ込めたジェルにインクを加えました。照射を何回か繰りかえしてジェルが外にでれば成功です。実験の模様を録画しました。
こちらを御覧ください。

ムービーでお分かりいただけたとおもいますが2回の照射でインクはほぼ外にでました。
大成功です。ただ、循環させるにはムービーで御覧になったように回転気味に皮膚に押しつける必要があります。
単純に皮膚に対して直角に押しつけたのではだめです。
それさえ守れば常に皮膚と照射ガラス面との距離は一定に保たれますから、機械の設定がそのまま皮膚に反映されます。
効果と副作用の頻度・度合に施術者の個人差がまったくなくなってしまうというわけです。
すこし脇道にそれますが、レーザー脱毛や光脱毛は、医療行為なので医師が行なわなければならないという意見があります。
私はその意見に反対なのですが、理由はこちらでも述べましたが、
医師法で禁止されている行為というのは、「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危険を及ぼすおそれのある行為」です。
FisioFlashにグリッドスペーサーをつけた施術の手順を箇条書にしてみましょう。医師でなければ危険な行為だとは私にはおもえません。
1)機械のハンドピースにグリッドスペーサーを(表裏を間違えないように)取りつける。
2)毛を剃った皮膚にたっぷりと冷したジェルをつける。
3)回転気味に皮膚に押しつけながら照射する。
たったこれだけです。機械が安ければ家庭でだって施術できるでしょう。
どう考えても「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危険を及ぼすおそれのある行為」ではありません。
機械の設定については、絶対にヤケドしない弱い設定から順番に強く何段階かを1発づつテストしてみて、毛穴の回りが赤くなる値で全照射すればよいだけの話です。
テストでヤケドしなければグリッドスペーサーを着けているかぎり全照射でもヤケドしません。
たくさんのサロンでFisioFlashが使われているということですから、
私は販社や業界関係者の御協力をいただいて早急にこのグリッドスペーサーを広めたいと考えています。
「言い出しっぺ」ですので、施術テクニックの習得の場所として当院を研修の場として提供するつもりです。
研修を御希望の施設がございましたら、私までメールをお送りください。
なお、当院での研修を終了して安全に施術を行なっている施設のリストはこちらです。
(施術の標準化が達成できた施設であって脱毛効果を保証するものではありません。脱毛効果は本来の機械性能に依存します)
2003年7月13日
文責者: 渋谷高橋医院 院長 高橋知之
その後、FisioFlashの出力やパルス幅(光1発の持続時間)を測定する機会がありました。エステティシャンの参考になると考えて報告いたします。

パルス幅は1000分の10秒(10ミリ秒)、25秒(25ミリ秒)、40秒(40ミリ秒)、340秒(340ミリ秒)から選べることが分かりました。
最高出力はパルス幅に応じて異なり、10ミリ秒で9ジュール、25ミリ秒で19ジュール、40ミリ秒で25ジュール、340ミリ秒で30ジュールです。
パルス幅に関する説明は脱毛の原理で詳しく述べておりますのでそちらを御覧になってください。
結論から言いますと10ミリ秒は安全に脱毛できるギリギリのところです。
この機械は冷却装置がついていませんので出力をあげると危険です。メーカーもその点を考慮して最高出力を9ジュールに抑えているのだとおもいます。
一方40ミリと長くすればエネルギーのピーク値は低くなりますので24ジュールではこころもとないとおもいます。
340ミリ秒といっても20ミリ秒間の照射の後に280ミリ秒の休憩時間を置いて再度40ミリ秒の照射ですので実際の脱毛に寄与するのは最初の20ミリ秒間の照射だけで、
失礼ながら設計者の意図するところが私には理解できません。理論から大きく逸脱しています。
複数のエステティシャンから聞いた話では、実際に40ミリ秒や340ミリ秒では脱毛効果がないので、10ミリ秒か25ミリ秒を選ぶそうです。理論と合致しています。
私がこの機械を使用するならば、グリッドスペーサーを着けたうえで、19ジュールまでだせる25ミリ秒という設定を選ぶでしょう。
施術の流れをまとめてみます。
1) 機械設定では、25ミリ秒を選ぶ。
2) 毛をできるかぎり剃った状態で、13ジュールくらいから何段階かテスト照射し、15分後に観察して反応が認められた一番弱い出力で全照射する。
3) 施術後は冷したタオルで15分から30分くらい局所を冷却して修了。
この方法で行なうかぎり医師である私が施術しても新人のエステティシャンが施術しても同じ結果となります。
少なくとも誰が行ってもワキやビキニの太い毛は永久脱毛できると確信いたします。
2003年11月2日
渋谷高橋医院 院長 高橋知之(E-mail: Tomoyuki@Takahashi.MD)
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