ハンディレーザー (HANDY LASER)
先日、次のようなメールをいただきました。
実はわたしもお恥ずかしながら「家庭用レーザー」を購入したことがあります。
しかしながらあまりにも痛い・効果がないことから貴院に通っております。
2週間まえに4回目の照射を終え、90%くらいは減ったと感じております (^_^)
もし、よかったらわたしが当時購入した「家庭用レーザー」を実験の機材としてお使いください。
メーカーは「ヤーマン株式会社」で値段は9万8千円でした。最近よく雑誌で見かけるスペックのものです。
ということで、送っていただいたのは「HANDY LASER」というものです。
「永久脱毛機」と断言しています。すごい自信ですね。
このようなシンプルな機械です。
例によって「直視しないでください」と書いてありますが
デピレーザー1
のような安全に対する配慮はなされていません。
価格も同じですし、メーカーも同じヤーマンなのに不思議です。
さて、レーザーで永久脱毛ができるか否かはレーザー脱毛の原理に書きましたように、波長・照射時間(パルス幅)・出力の三つが適正であるかによります。
説明書には波長と出力の記載がありません。機械から出るレーザー光線の強さは常に一定で、照射時間を変えてエネルギー量を調整するようです。
例えば、ヒゲ脱毛は次のように説明されています。
では、電源をいれて動かしてみましょう。
ビデオ撮影しましたのでこちらをクリックしてください。とても簡単な操作です。
この機械に限らず他の機械でも、黒い紙を燃やせること脱毛できる根拠としています。

でも、黒い紙を燃やせれば脱毛できるのだったらこのような方法でも可能なはずです。
下の写真は、「虫眼鏡脱毛器」と「HANDY LASER」のスポットサイズです。
「HANDY LASER」のスポットサイズは0.5mmくらいでしょうか。波長や出力はさておき、1mm以下のサイズで脱毛できるかを検証してみましょう。
これは私の髪の毛です。毛は皮膚面に対して少し斜めに生えています。
赤線が皮膚の表面で、それより下が皮下組織だと考えてください。(つまり、この写真は皮膚の断面図だと考えてださい)
毛根を爆発的に燃焼させることによって毛嚢にある幹細胞と呼ばれる「工場」を破壊するのがレーザー脱毛です。
幹細胞だけを選択的に破壊することは不可能ですから、毛嚢全体を焼く必要があるのは専門医の間では常識です。
ところで、写真の中の毛が一ヶ所だけ焦げているのが分かるとおもいます。
こちらのムービーを御覧ください。照射時間(パルス幅)を2秒に設定して3回照射しました。
その結果、このような焦げ目をつくったのです。これでは毛嚢全体に損傷を与えることは不可能です。
写真の中の2本の青線の間、すなわち直径2mmくらいのスポットは必要なのです。
実際、「HANDY LASER」の説明書にも、このように、広い範囲を照射すると解される図が載っています。
(現実には実施不可能な図と言わざるをえません。虫眼鏡脱毛器ならカバーできます・・・)
ところで、この説明図の冒頭に「毛乳頭と毛の因子、ケラチンが・・・」とありますが、ケラチンは毛の因子ではありません。
すでに述べましたように、毛は毛嚢にある「幹細胞」から発生するのです。
確かに以前は「毛乳頭」から発生するという説もありましたが、今は否定的ですし、少なくとも「ケラチン」説は間違いです。
医学大辞典第18版3刷(南山堂2000年)によれば、ケラチンとは
「毛・爪・表皮・鱗などに存在し動物の体を保護するものが多い。表皮細胞で作られ蓄積する典型的な線維タンパク質で・・・」
とあります。
この機械は間違った医学的知識を根拠にしてつくられているようです。
もう少しマニュアルを見てみましょう。

剃った状態で照射すると書かれています。(正しいです)
でも、ピッピッという音に合わせてスライドさせても直径0.5mmのスポットでは、すべての毛をカバーできるわけがありません。

ヒゲでは剃った状態で照射すると書かれているのに、ワキ・ビキニでは除毛・脱毛も可とあります。
ターゲットである黒い毛根が無ければレーザーを照射しても無意味なのですが・・・。
ワックスシートで抜いてもよいとまで書いてあります。
ところが色素のうすい毛は「コロモマスク」という色素を擦り込んだうえで照射するとあります。
これが「クロモマスク」です。
墨汁のような液を毛穴に擦り込んでレーザーを照射するというアイデアは、4年くらい前にアメリカで試みられましたが、効果なく、廃れてしまった方法です。
この説明書は矛盾だらけと言わざるをえません。
最後になりますが、
このような「推奨文」がはいっていました。このような団体を私は知りませんし、電話番号を検索しても見つかりませんでした。
今時、電話がないような団体が存在するでしょうか?
2001年4月28日
渋谷高橋医院 院長
高橋知之






















