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光脱毛機 カンタムHR (Quantum HR)について

光脱毛というのは強力な白色ランプからでるさまざまな波長が混ざった光をフィルターにかけて、 脱毛できる波長の光を取りだして照射するというもので、IPL(Intense Pulse Light)とも呼ばれています。 医療機関でも使用されていますが、主にはエステで使用されることが多いようです。
レーザーであってもIPLであっても、永久脱毛できるかどうかはレーザー脱毛の原理に書いてあるように 光線の波長・出力・パルス幅によって決定されます。 こちらで述べましたように、光脱毛機の中には波長に問題があるものもあるようです。

右側の機械が脱毛用の「QuantumHR」です。 (左側は美顔用の姉妹機「QuantumSR」です。光美顔術についてはこちらを御覧ください)

これはハンドピースとその構造図です。 アークランプからでた白色光には若干の紫外線を含む可視波長を中心に1200ナノメートルまでの種々の波長の光が混ざっているのですが、 目的用途に合わせて、それぞれ異なるフィルターのハンドピースを使い分けるというのが「Quantum」の特徴です。
美顔(肌)用には560ナノメートル以下の波長をカットするフィルターがついた ハンドピースを使用しますし、脱毛機に標準装備されているフィルターは、機械の画面が示すように、695ナノメートル以下をカットするものです。

このフィルターを使えば、波長694ナノメートルのルビーレーザーと同程度のリスクになるはずです。

最近は、一般の脱毛希望者ばかりではなく医師やメーカーなどの専門家の方々もこのHPを御覧いただいているようです。(気合をいれて書いています) その方々からの「オイオイ、ルビーと同じなら危険だよ。意味ないよ」という声が聞えてきそうです。
では波長以外のスペックを見てみましょう。
まずパルス幅(レーザー1発の持続時間)です。 安全に脱毛するためにはレーザー脱毛の原理 に書いたように、 レーザー光線を1000分の10秒以上持続して照射する必要があります。 初期に開発されて火傷(ヤケド)が多発して、今は評判の悪いルビーレーザーのパルス幅は1000分の3秒でしたし、 アレキサンドライトレーザーでも1000分の3秒のものが日本には数百台でまわっており「火傷(ヤケド)した、効果がない」といった相談がときどき届いています。

この「Quantum HR」ではどうでしょうか。


1000分の3秒~1000分の6秒の間に設定できます。
「なんだ、やっぱり短いじゃないか、10000分の10秒ないじゃないか。そんな短いパルス幅で強く照射したら火傷(ヤケド)するよ」という声が聞えますね。
そのとおりです。もっと長くするべきだとおもいます。


この機械のおもしろいのは、「Pulse Delay」という概念を導入しているところです。 「Pulse Delay」という短い休憩時間をはさんで2回または3回連続して照射するように設計されているのです。 休憩時間をはさむことで皮膚温の急激な上昇が避けられ火傷(ヤケド)を防ぐことができるというアイデアです。 (この設定画面のように、1000分の10秒~1000分の30秒の間から選べます)

最長パルス幅をレーザー脱毛機式に表現すれば、2回の休憩をはさんで100分の38秒間照射されているといえます。 これは安全に永久脱毛できるに足る十分な数値です。 途中ではさむ休憩時間を考えれば永久脱毛に必要な十分なエネルギーを火傷(ヤケド)を起こさずに毛根に与えることができる可能性は大です。


機械を立ちあげると5分くらいで右のようにガチガチの霜がつくくらいに強力な冷却装置が内蔵されています。 これくらい強力だと火傷(ヤケド)のリスクは回避できそうです。御覧のように大きなスポットサイズ(34mm×8mm)というのも特徴です。

パルス幅と冷却装置は問題なさそうであるがルビーレーザーと同じ程度という波長に懸念がある、ということになりました。
この機械にはオプションとして、755ナノメートルのフィルターも選べます。


755のフィルターを選べばアレキサンドレーザーを使用した脱毛機と同じことになりますし、 現実にこのような強力な冷却装置を備えた脱毛機はアレキサンドライトにはないのですから大いに期待できます。
その場合に懸念されるのは最高出力です。 755フィルターではアークランプからのエネルギーの大半をカットしてしまいますから脱毛できうる十分なエネルギーが残っているかです。


実際、695フィルターでは45 J/cm2の出力があるのに755フィルターでは35 J/cm2しかでませんでした。


実際に照射してみました。15分後の写真です。
M~Wまでの中央の一列が当院で使用しているダイオードレーザー(LightSheer)です。 21 J/cm2であるPから反応が見られ、 QuantumHRでは755・695のどちらのフィルターでも(写真では判りにくいのですが) 32 J/cm2であるCまたはGから反応が見られました。 755フィルターでは35 J/cm2で打ち切りですから、ちょっと物足りません。 Iは695フィルターで38 J/cm2、Jは42 J/cm2です。 写真でもはっきりと判る反応が現れており LightSheerでの25~31 J/cm2 (RS)くらいに相当するようです。
この機械の使用説明書では強力な冷却装置があるにもかかわらずハンドピース先端を皮膚から2mm程度離して照射することになっています。 「おす・ふく・ジェル」を呪文のように唱えることを推奨している私はどうも気になるところです。 (呪文についてはこちらの末尾を御覧ください)
ためしに実行してみました。KとLです。ものすごく切れ味の良い反応なのが一目瞭然です。 (担当者は、この反応を見てマニュアルを再検討したいと言っておりました)

長い文章になってしまいました。
結論です。
「Quantum」には、美顔用のSRと脱毛用のHRがありますが、メーカーはSRを戦略の中心においてHRには熱心でないようです。 きちんとしたマニュアルをつくればアレキサンドライト脱毛機を超える効果を期待できるのではないかと感じました。

2001年7月22日
渋谷高橋医院 院長
高橋知之




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