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ウデ(ヒジ下)の経過 (LightSheer vs SLP)

2000年12月13日

8日前まで毎日抜いていたそうです。照射すると決まったので、抜かず剃らずに過ごしてもらいました。
本来なら、もっとたくさん生えてからのほうが良いとも考えたのですが、SLPのメーカーであるパロマー社の都合で本日に決まりました。
第1回目の、SLPの設定はパルス幅400ミリ秒、出力32ジュールです。 (パロマー社から派遣されたスタッフにお任せしました。これはSLPの最高出力-90W-とのことです)
LightSheerではパルス幅を30ミリ秒と100ミリ秒でテストしたのですが、100ミリ秒でははっきりした反応が見られなかったので30ミリ秒を選びました。 出力は60ジュールです。(毛が細いので、こちらも最高出力-2900W-です)
直後の状態ですが、SLPでは反応していないように見えますが、毛が細いとこのようなものだそうです。 LightSheerの痛みは相当きつかったようですが、SLPはほぼ無痛とのことでした。 写真はこちらです。

2000年12月20日

ちょうど1週間がたちました。
LightSheerの方では、ヒジの近くで軽いヤケドが起きました。 基本手技を完全に守っても、この程度は起きることがあります。 特別な治療は必要ありません。1月以内に消えてしまいます。(細い毛では、この程度のトラブルは折り込み済みと考えるしかありません)
SLPの方は、この時点では効果は認められません。カミソリで剃って1週間後の状態と同じだと本人は言っています。 パロマー社の話を信じて、もう少し経過をみたいとおもいます。
ところで理論的には、毛が細くなるとパルス幅を短くする必要があります。 パロマー社から派遣されたスタッフもそのことは御存じだったのですが、なぜかワキより長く設定しました。 400ミリ秒ではなく200ミリ秒の方が良いとおもうのですが・・・。
写真はこちらです。

2000年12月27日

2週間目の写真です。
LightSheerの方で起きたヤケドは、ずいぶん良くなりました。
拡大写真を御覧ください。まだ「燃えかす」が残っていますが、まったくの無毛状態を維持しています。
一方SLPの方は、「産毛」がたくさん生えてきているようにも見えます。 本日、今後のスケジュールの打ち合わせのために、今回の企画のパロマー社側責任者であるN氏が来院されて、 「照射の設定は間違っていないので、あと1月くらいは経過をみてください。 最初に説明したようにSLPの反応は遅れる場合があるので、これから抜け落ちてくるはずです。 頻回に経過写真を撮ってください」 というコメントをいただきました。

2001年1月5日

23日目の写真です。
LightSheerで起きたヤケドは、ほとんど治りました。そして、まったくの無毛状態が続いています。

2001年1月10日

28日目の写真です。
右腕のLightSheerで起きたヤケドは治りました。拡大写真を見ると「燃えかす」が所々に残っています。 また、非常に細い毛が生えはじめているのが分かります。これは28日前のレーザー照射時には休止期であった毛穴からのものと判断します。 本人も気づかなかったくらいの非常に細い毛で、写真をチェックしていてはじめて分かりました。 これが成長してレーザーに反応するようになるまで待つわけで、照射間隔は最低でも2ヶ月は必要だという理由が御理解願えるとおもいます。
一方SLPの方は遠目からでも毛を確認できるようになりました。引っ張っても痛くて抜けません。

2001年1月17日

35日目の写真です。 こちらは近接写真です。 近接写真ではLightSheerで照射した右腕にも細い毛が伸びはじめているのが認められます。
先週の写真を検討していただいていたのですが、 「あまり効果が見られないように思います。そのため、2回目の照射時にパラメーターを変えて照射してみたいと思います」 という返事です。 来週、2回目の照射をおこなうことになりました。(パラメーターというのは出力やパルス幅の設定のことです)

2001年1月24日

2週間目の時点でのコメントは 「照射の設定は間違っていないので、あと1月くらいは経過をみてください。 最初に説明したようにSLPの反応は遅れる場合があるので、これから抜け落ちてくるはずです」 ということでしたが、その後も伸び続けて、照射から6週間目の今日の写真です。 結局1回目のSLPは効果がなかったという結論になりました。
本日おこなう2回目の照射のためにわざわざ来日されたパロマー社の副社長である Mr.Brody は次のように話してくださいました。

(1) 今回使用したSLPは最新型でハンドピースの照射口のスポットサイズが以前に比べて直径12ミリ(以前は10ミリ)と大型になっています。
大きくしたために適正な照射のパルス幅(レーザー1発の持続時間)は従来よりも長くなります。従来設定のまま照射したことが効かなかった原因です。

(2) SLPであっても適正な照射をすると痛みはあります。照射時に無痛であれば効果は期待できません。 痛みというのも適切に処理できているかどうかの目安になるのです。SLPの痛みは特殊です。 普通のレーザーはパルス幅が短いので皮膚の表面で「パシッ」とはじかれるような痛みですが、SLPでは奥の方から「ジワ~」とくる痛みです。

(3) SLPでは「パシッ」とはじかれるような痛みで毛根が激しく燃えますが、SLPでは奥の方から「ジワ~」とくるように必要以上に毛根を燃やしません。 従って毛根周囲のヤケドも少なくなります。従来の装置では重複照射は危険でしたが、SLPでは重複照射もでき、それによって照射漏れを防ぐことができます。

(4) SLPの最大の特徴はパルス幅が長いことです。 従来の10ミリのスポットサイズでは200~400ミリ秒で使用するのが一般的ですし、12ミリのスポットサイズでは800ミリ秒で照射することもあります。 従来のレーザー脱毛機は色白の人にしか使用できませんでしたが、 このように非常に長いパルス幅にすることによって黒人、あるいはそれに近い皮膚をもった人種にも使用できるようになったのが特徴です。

(5) パルス幅を長くした犠牲として細い毛の脱毛が難しくなりました。 細い毛はLightSheerの方が得意かもしれません。これはSLPの特徴であって、欠点ではありません。 色黒の人の太い毛に対してはLightSheerより優れていると確信しています。
太い毛は脱毛できるが細くなるとできないのは事実ですが、極端な「産毛」は無理としても、いわゆる「気になるムダ毛」なら脱毛できます。

ということで、今回はBrody氏自らが設定照射してくださいました。設定を決めるにあたってパルス幅を少しずつあげながら照射して様子をみました。 あげていくと痛みは増加し、750ミリ秒でピークとなり、800ミリ秒では痛みは弱まりました。 よって、750ミリ秒・60ジュールが最適の設定とBrody氏は判断され、上記(3)により照射漏れを起こさないように、 2度にわたって(一部は3度にわたって)左のヒジ下全体を照射してくださいました。(結構痛かったようです)

照射後、Brody氏は 「この程度の毛は私の言うところの細い毛ではありません。今回は絶対に効いています。この程度の毛が脱毛できないのだったら商売をやめます」 と断言するほどうまく照射できました。
この照射を見て、私自身でも試したくなりました。こちらです。

2001年1月26日

こちらを御覧ください。ヤケドしたようです。
ヤケドが起きたのは残念ですが、ヤケドするくらいの熱量が与えられたという解釈もできるわけです。前回と違って効果が期待できそうです。
LightSheerでの1回目の照射時にもヤケドが起きました。 LightSheerのヤケドはヒジの部分で発生し、凹凸した皮膚に照射面が密着しなかったことが原因でした。 今回のSLPのヤケドは平坦な部位で起きてしまいました。Brody氏と検討したうえで考えられる原因を後日にあらためて記載いたします。 ヤケドの深さはLightSheerよりも深いようですが、瘢痕をつくることはないとおもいます。

2001年2月2日

ヤケドの原因についてパロマー社側から返事をいただきました。
「正直なところ、設定が強すぎたと思います。又、部分的に重ね打ち(同一部位に2度照射)も行いました。結果的にツーマッチであったと思います」とのことです。
本日の写真はこちらです。
右ウデは、51日前にLightSheerで1回照射し、9日前に剃ったことになります。
左ウデは、SLP2回目の照射から9日後ということになります。

2001年2月9日

本日の写真はこちらです。
右ウデはLightSheerで照射して58日が過ぎました。当然ですが、細い毛がたくさん生えてきました。 照射後1月は無毛の状態が続いて、その後1月くらいで伸びてきて照射間隔2ヶ月くらいで2回目の照射をおこなうという標準的な経過です。 本人次第ですが2週間後くらいに2回目といったところでしょう。
問題はSLP2回目の照射から16日後の左ウデです。
1回目の照射は関係者全員一致で無効という判定でした。2回目の照射を照射した直後には 「今回は絶対に効いています。この程度の毛が脱毛できないのだったら商売をやめます」 とまで言切り、ヤケドが発生したときには 「正直なところ、設定が強すぎたと思います。又、部分的に重ね打ち(同一部位に2度照射)も行いました。結果的にツーマッチであったと思います」 という回答もあったわけです。
左ウデのヤケド周辺部の拡大写真を御覧ください。ヤケドするくらい強く照射したにもかかわらず元気に伸びてきているようにみえます・・・・。

2001年2月16日

本日の写真はこちらです。
左ウデのヤケド周辺部の拡大写真(C)を御覧ください。左下に一番ひどいヤケドがあったのですが、だいぶん落ち着いてきました。 しかし、毛の方はどんどん伸びてきています。
ヤケドを起こさなかった部分の拡大写真(B)はもっと元気に伸びてきています。 照射から65日たったLightSheer側の拡大写真(A)と比較してください。拡大写真(B)の方の毛が(A)よりも太いのがわかります。
設定を変えて照射してもSLPの効果はみられなかったと判断しても間違いなさそうです。

2001年2月23日

本日の写真です。
前回と同じアングルで撮りました。拡大写真でなくても、ヤケド周辺部の毛がはっきりとわかるようになりました。
ウデの比較照射の結論をだしてもよさそうです。
結論:
直径12ミリスポットのSLPは、装置の最大能力をもってしても、ヤケドは起こしたものの、脱毛効果は認められなかった。 一方、LightSheerでは確実な脱毛効果が認められた。

もうすぐ3月です。暖かくなって肌をだす機会も増えますので、照射と照射の間は剃っていたいと本人から強い希望がありました。 スタッフといえども、比較照射の結果がはっきりした以上、ヤケドの危険をおしてまで強制したくありませんので、本例のSLPでの照射は終了といたします。
今後の比較照射につきましては、Palomar側から女性社員ボランティアの申し出がありましたので新たに始めることになりました。 今月の28日が第1回目の照射と決まっておりますので、皆さんには引き続き写真やビデオで経過をお知らせいたします。

ところで、SLPでなぜヤケドが起きたかを考えてみました。
Palomar側からの回答は 「正直なところ、設定が強すぎたと思います。又、部分的に重ね打ち(同一部位に2度照射)も行いました。結果的にツーマッチであったと思います」 とのことでしたが、私はこのように考察しました。 Palomar社にとっては嬉しくない論理展開であることは理解できます。 これはあくまで私的意見ではありますが、異論・反論がありましたらメールをお寄せください。 改変せずに掲載させていただきますし、私が間違っていることが納得できましたら訂正いたします。 (Palomar側からは、内容に同意できないとの簡単なメールをいただきました。不同意の理由を問合わせておりますので回答が届きましたら掲示いたします)

2001年3月18日

不同意の理由はまだ届いておりませんが、残念なことになりました。
2月28日に予定していたPalomar側の女性社員ボランティアへの照射が中止になってしまったのです。

Palomar社の日本における代理店はM&Mという会社です。
SLPは厚生省の承認を得ていない医療用具ですから、M&M社がおこなっているのは購入希望の医師への(Palomar社の代理としての)製品説明であって、 輸入販売ではありません。私(Dr高橋)もM&M社を通じて製品情報を得たのですが、これは違法ではありません。 (法的なことはこちらを御覧ください)
今回のSLPとLightSheerの比較照射の企画もM&M社の取締役営業部長と合意して始めたもので、 2回目照射の1月24日にはBrody氏といっしょに社長の富士氏も来院されました。 その24日の欄に、照射後Brody氏は 「この程度の毛は私の言うところの細い毛ではありません。今回は絶対に効いています。この程度の毛が脱毛できないのだったら商売をやめます」 と断言されたと書きましたが、富士社長も 「毛は細いがメラニン量は十分です。脱毛できなければM&Mとしても身を引きます」 と私の隣の席ではっきりとおっしゃいました。
ヤケドが起きたときに 「正直なところ、設定が強すぎたと思います。又、部分的に重ね打ち(同一部位に2度照射)も行いました。結果的にツーマッチであったと思います」 とのコメントも、ヤケドの原因に関する私の考察に「不同意である」とおっしゃったのも富士社長です。
その富士社長から直前になって、次のようなメールが届いたのです。

明日、2月28日はお邪魔致しません。従いまして弊社社員へのレーザー照射も遠慮させていただきたいと考えております。
<理由>

・SLP1000は新しい概念の装置で、日本人の多様な皮膚色・毛質についての最適パラメターは確立しておりません。 既に米国から導入されている施設は、理論的な確信の基に導入され、安全性を確認された上で、 動物実験・臨床を通して各部位・毛質についての最適パラメター作りをされております。 先生にも上記趣旨で試用いただけると勝手に考えておりました。

・私どもと致しましては、最適パラメターを確立する経過の時点でのホームページ掲載などは本意とするものでは有りません。

・今後、動物実験データ・臨床結果は学会などで発表されると思いますし、最適パラメター、使用方法なども確立すると思います。

・最適パラメターが確立した時点で改めて試用いただければと考えております。
ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

結果がどうあろうとも、HPに掲載して学会で発表するというのはM&Mの取締役営業部長と合意していたことですし、 1月24日に来院された際にも不本意であるとか、動物実験が必要であるというような話は、富士社長からも一切ありませんでした。
「日本人の多様な皮膚色・毛質」というのも変です。 ヨーロッパ系アメリカ人・アジア系アメリカ人・アフリカ系アメリカ人といった多様な皮膚色・毛質をもった人々が暮しているのが米国なのです。 その米国でクリアしているのなら日本人にだって脱毛できるはずではないでしょうか。
日本人に最適なパラメーター(機械設定のことです)を決めるために、なぜ動物実験が必要なのか私には理解できません。 そのような動物実験が可能だとして、動物実験が必要な機械を患者さんに(お金をいただきながら)照射するというのは、 あまりにも患者さんに失礼ではないでしょうか。そのような行為は人体実験と呼ばれてもいたしかたないと私は考えます。

比較照射がこのような中途半端な状態で終わることはとても残念です。今回の結果は、SLPにとって惨澹たるものでした。
しかし、私はこの結果をもってSLPを全面否定するつもりはありません。 惨澹たる結果に終わったのは、直径12mmのハンドピースを持ったSLPであるということを忘れないでください。
すでに、何台ものSLPが臨床の場で使用されています。そして、SLPを使用されているドクターから「それほど悪くはない」というコメントもいただきました。 現在、国内に流通しているSLPのハンドピースは直径10mmや8mmのものです。 私は何回も90ワットではパワーが弱いと書きました。同じ90ワットでも照射スポットが小さくなればエネルギーが収束しますから脱毛効果はあがるはずです。 直径10mmでは1.44倍、直径8mmでは2.25倍のパワーが得られる計算です。 それくらいのパワーがあれば、ワキやビキニラインなどの太い毛の脱毛は十分に可能だとおもいます。
(2月28日に予定していたのは、その8mmスポットでの比較照射だったのです。中止になったのは本当に残念です)

2001年7月25日

2月28日のSLP照射は、突然のキャンセルになってしまいました。 それで当日に両ウデともLightSheerで60ジュールで照射しました。 それから5ヵ月が経ったわけですが本日の写真をお見せいたします。 1週間前まで剃っていたそうですがこちらです。
LightSheerで2回照射(ともに60ジュール)した右ウデはずいぶん減りましたが、1回だけの左ウデは太い毛が見えています。 黄色の矢印で示したようにSLPで起きたヤケドのなごりもまだ残っています。(本人は気になっているようです)

[補足] 今回も機械の最高出力である60ジュールで照射したのですが、 1回目から60ジュールで照射したのは機械の限界でダイオード対決しようという意図があったからです。 (パロマー側がSLPの最高出力で設定したのを見て、LightSheerも最高出力で照射しなければ失礼だとおもったのです)
このボランティアの場合は毛が細くて色白であったために成功したのであって、通常はこのような設定をしません。 (もちろんヤケドしないという確信があってのことですが・・・) 部位や毛の太さに応じてテストしながら段々と回を重ねるごとに出力をあげていくのが正しい方法です。 そして最高出力の60ジュールまでたどりついたにもかかわらず脱毛できない細い毛は中止となります。 また、60ジュールに達しなくても皮膚の色調(色黒)のためにヤケドが起きて照射するのが危険になった場合には毛が残っていても、それで中止です。 これがJPSでいうところの「永久保証脱毛」なのです。
もちろん機械は進歩しますので、あるときには中止せざるを得なくても、将来、更に高性能な機械が開発されれば導入して再開いたします。 このことはJPSでレーザー脱毛をスタートしたときに決めた私(Dr.高橋)のポリシーです。
そのポリシーに従って、 ロングパルスアレキサンドライト(LPIR) → ダイオード(LightSheer) → 高出力ダイオード60ジュール機 → 色黒対応ダイオード100ms機 とすすんできたわけです。
このような話をここで持ちだしたのは、LightSheerを導入した当初は 「30ジュールくらいまでを上限とし、それ以上の出力で照射する必要はないしヤケドの危険もある」 というメーカーの注意がありましたし、 実際にそれでロングパルスアレキサンドライトよりも遥かに優れた結果が得られていましたので 40ジュールを超える照射など超例外だとたかをくくっておりましたという反省の告白をするためです。 現在は、60ジュールでの照射は希ではありません。




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