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テスト照射で火傷(ヤケド)しないのに本番で火傷(ヤケド)する理由

レーザー脱毛あるいは光脱毛の効果を決定する条件(パラメータ)は、一般的には、光線の波長、出力、それとパルス幅(光線1発の持続時間)の三つと考えられています。
そして、副作用(火傷(ヤケド))を最小限に留めるために強力な皮膚冷却装置が必要です。
これらの条件を満たしたレーザー脱毛機の代表選手がライトシェア(LightSheer)ですが、 ライトシェアを使えば誰が行なっても安全に永久脱毛できるかといえば、けっしてそのようなことはありません。
高出力ゆえ、使用方法を誤ると文字どおり痛い目にあいます。
施術にあたっての基本的事項は「押す・拭く・ジェル」という標語に集約されますが こちらを御覧ください。
では、この基本手技を守れば絶対に火傷(ヤケド)しないのでしょうか?
残念ながらそうではありません。
「このような合併症は月に1人くらいの頻度で発生しています。毎月1000人以上を処置していますから、 0.1%以下ということになります」と「押す・拭く・ジェル」のページで書きましたように、僅かですが火傷(ヤケド)は起きています。
丁寧に、丁寧に、「押す・拭く・ジェル」を行なったにもかかわらず火傷(ヤケド)が起きることがあるのです。
私は施術前には必ず部位ごとに小範囲のテスト照射を行なって効果があって火傷(ヤケド)しないことを確認しています。
同一部位であっても皮膚の色調や毛の太さが異なれば、それぞれテストしなおしています。


これは太もも内側の火傷(ヤケド)です。55ジュールで施術しました。
55ジュールというのは途方もない高出力です。でも、それ以下では脱毛できないのですから、 あきらめるか行なうかしかありません。 行なう以上は丁寧なテストを行なって大丈夫であることを確認しました。
しかし、それでも火傷(ヤケド)しました。

原因はといえば誰に相談しても、「出力が高すぎたのでしょう」、「日焼けしていたからじゃないですか」とかいった一般的な話しかかえってきません。
といいますか、私はこのような質問を受ける立場になることのほうが多いのですが、 「リスクは高くてもテストで異常がないのに本番で起きる理由は正直いってよくわかりません。 浅黒い肌に高出力で行なった場合に起きることが多いです。気をつけるしかありません」としか回答のしようがありません。
「ではどのように気をつければよいのですか?」と突っ込まれると、「・・・・・・」となってしまいます。
8年もライトシェアに入れ込んできた「脱毛オタク」の私もこのことだけは説明をつけられませんでした。

前置が長くなってしまいましたが、原因と対策がわかりました。


ライトシェアの最大特徴は接触式の皮膚冷却装置が内蔵されていることです。
私は、しばしば、「強力な」という形容詞をつけてホームページの各所で表現してきました。
どれくらい強力かというと、メーカーは公式には5℃と言っていますが、実測すると4℃~6℃くらいで、 それよりも暖かくなることはありませんでしたので、私は長い間それを疑ったこともありませんでした。
この5℃というのは、あくまでもハンドピースのガラス面の温度であって、レーザーを発射した瞬間には皮膚表面の温度は上がるはずです。
発射した瞬間も5℃であれば火傷(ヤケド)するわけはありません。
色白の人よりも色黒の人のほうが皮膚温は上がるでしょうし、低出力でよりも高出力でのほうが上がるでしょう。
でも、上がってもテストで火傷(ヤケド)しないのだから本番でも火傷(ヤケド)しないはずです。
火傷(ヤケド)するからにはテストと本番では何かが違っているはずです。 冒頭で脱毛の効果と副作用は光線の波長、出力、パルス幅、それに皮膚冷却装置で決ると書きましたが、 僅かな変化で火傷(ヤケド)を起こす可能性のある条件は出力と温度です。
テストで火傷(ヤケド)せずに本番で火傷(ヤケド)したとすれば、出力が設定以上に高くなったか、冷却装置の調子が悪くなったかのどちらかの可能性が大きいです。 そのような火傷(ヤケド)を起こした機械をただちにメーカーのエンジニアに点検してもらっても、「機械は正常です」という返事しか返ってきませんでしたので、 いままで原因がわからなかったわけです。

さて、今回、とても繊細な温度センサーを手に入れました。

このような針金状のセンサーならば施術中の皮膚温を実際にリアルタイムで測定することができます。 早速、スタッフからボランティアを募って測定してみました。 こちらのビデオを御覧ください。
出力は30ジュール、パルス幅は30ミリ秒で、ヒザ下の標準的な設定です。肌の色は特に色白でも色黒でもなくごく普通です。
ビデオの中から重要な画面を切りだしました。


ハンドピースを皮膚に押しつける直前の温度は8.6℃です。ガラス面は、本当は5℃なのだとおもいますが、 センサーはガラス面にピタッと密着しているわけではないので若干高くでるわけです。


ハンドピースを皮膚に押しつけてしばらくすると13.3℃になりました。これが実際の皮膚温ということです。


レーザーを照射しました。22.8℃まで上がって、そしてそのままハンドピースを押しつけたまま動かさないでいると、


皮膚温は13.3℃まで下がりました。


ハンドピースを1cmほどずらして、もう一度照射すると、今度は、皮膚温は24.0℃まで上がりました。

次に1発ごとにハンドピースを皮膚から離して何回か照射してみました。皮膚温は25℃前後まで上がり、 ハンドピースを皮膚から離しているときは13℃前後です。7℃台に戻るには30秒ほど待たなければなりませんでした。 こちらです。

今度は、ベテランスタッフに普段通りに超連続施術してもらいました。 こちらです。
皮膚温は35℃~39℃くらいを維持しており、ときには40℃を超えるときもありました。
これは予想外の高温ですが、実際にはこれほど連続照射するわけではありません。それで、日頃行なっているように照射してみました。
こちらですが、 そうする皮膚温は35℃前後を維持できることがわかりました。
皮膚温が何度になると火傷(ヤケド)するのかは人体実験するわけにはいきませんが50℃を超えると危険だとおもいます。 このテストの出力は30ジュールですが、毛が細ければ30ジュールでは脱毛できません。40~50ジュールで施術するのはごく普通ですし、 50ジュール以上の場合も珍しくありません。その場合、テストとしての単発照射では皮膚温が40℃程度になったとしても、この結果を見ると不思議ではありません。 テストで40℃ならば本番の連続照射で50℃・60℃になる場合もあるはずです。

こちらは私の腕に25ジュールで照射しているところです。 ゆっくり照射したり早く照射したり、いろいろと変えて試してみました。
ゆっくり照射すると皮膚温は低く、高速で照射すると皮膚温は高くなります。
ということで、テストで火傷(ヤケド)はしないのに、 同じ設定での本番で火傷(ヤケド)する理由は照射スピードに冷却スピードが追いついていないからであるということがわかりました。
「ヤバイ」とおもって、ハンドピースや機械をチェックしてみても、 チェックしたときは皮膚から離れて何秒もたっていますからハンドピースはよく冷えているというわけです。
対策としては、高速で連続照射せずにゆっくりと施術するしかありません。 しかし今でもヒザ上などは2時間以上もかかる長丁場です。 今の半分の速度というのも難しいです。
最後のビデオのように短い列の繰り返しとし、列が変わるごとに「押す・拭く・ジェル」の「拭く」を励行すると、その間に先端は冷えますから一石二鳥と言えます。

こまめに「押す・拭く・ジェル」、やはりこれが基本手技なのです。
補足しますと、今回使用した温度センサーは金属製です。 透明ではありませんので、それ自体がエネルギーを吸収して実際の皮膚温よりも高い数値がでているかもしれません。 表示された数値は実際とは違うかもしれませんが、皮膚温が高ければ数値は高く、皮膚温が低ければ数値は低くなるはずです。 したがって、ゆっくり照射すると皮膚温は低く、高速で照射すると皮膚温は高くなるという結論自体は間違っていないはずです。

2005年10月26日
渋谷高橋医院院長 高橋知之
(本文をコピーされる場合、引用される場合は必ず御連絡ください)




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