はじめに
P-NAINを紹介するにあたって開発の背景を説明させていただきます。
渋谷高橋医院でレーザー脱毛をスタートしたのが1997年9月、
フォトフェイシャル美顔は2001年7月です。フォトフェイシャルで使用する機械はレーザーではなくIPLと呼ばれる強いパルス光ですが、
脱毛であってもフォトフェイシャルであっても、
ターゲットが毛根であっても表皮の色素沈着や真皮の毛細血管であっても光のエネルギーを熱エネルギーに変換することによって治療を行ないます。
設定(想定)した以上のエネルギーがでれば過剰反応を起こすでしょうし、ターゲット以外に熱が加われば火傷(ヤケド)を起すでしょう。
脱毛であっても美顔であっても、レーザーであってもIPLであっても、効果と安全を確保するには皮膚冷却機構が必須であるというのが私の基本的な考えです。
ライトシェアET
他ページで詳しく述べておりますが、
脱毛に関してはルミナス(旧コヒレント)のライトシェアというダイオードレーザーが群を抜いて優秀です。
私が最初にこの機械を導入したのが1998年9月ですが、その後に開発されたどの機械よりも優れており、
今後もこれを凌駕する機械は出現しないのではないかとおもいます。
この機械の難を言えば、脱毛専用機であるということです。
私はたまにシミとりに使用していますが、フォトフェイシャルのような美顔施術はできません。
カンタムSR(左)とカンタムHR(右)
一方、フォトフェイシャルで使用するカンタムSR(現在はナチュライトというドクターの方が多いです)は美顔専用機です。
カンタムSRには姉妹機としてカンタムHRという脱毛機もありますが、
脱毛機としてはライトシェアより劣るのでさほど普及しておりません。
劣る理由は、ハンドピースに冷却装置は備わっているものの先端のガラスがサファイアではないために
毛根からの熱で破損し脱毛テクニックの基本である「押す・拭く・ジェル」ができないからです。
結局のところ熱心なクリニックでは、脱毛用にライトシェア、美顔用にカンタムSR(あるいは他の美顔機)の2台を揃えなければならないわけです。
両機ともに高額機械ですので設備投資は大変ですし、それは治療費に反映されるわけです。
1台の機械で美顔と脱毛ができればとてもすばらしいことです。そのように謳う機械もありますが、結局はどっちつかずというのが私の受ける印象です。
私なりに1台の機械で美顔と脱毛ができるための基本条件を考えてみると次の2点に集約されます。
・カンタムHRとカンタムSRの機能を1台の機械にまとめる。
・「押す・拭く・ジェル」ができるようにハンドピースに冷却装置とサファイアガラスを組み込む。
そのような機械をいくつかのメーカーに提案してきたのですが、私が知っているような大メーカーはすでに何らかの脱毛機なり美顔機なりを製造しておりますので、
受け入れていただけるところは見つかりませんでした。
製造技術はあるが(失礼ながら)小規模で小回りがきいて、まだ日本に進出してきていない会社を探すのが近道であることに気付きました。
(日本国内ではそのような会社は見つかりませんでしたので・・・)
そのような矢先に、JPSのホームページを御覧になってフォトリボーンの原理と機械についての詳細を照会いただいた韓国の会社社長と意気投合し共同で開発するに至りました。
開発にあたりましては、こんな機能があれば便利、こんな形が使いやすいというように私のおもうところを総て網羅しました。
以上が前置です。
P-NAINのスペック

上で述べた基本条件をクリアする「カンタムHRとカンタムSRの機能を1台の機械にまとめる」という命題に対しては、
光線1発の持続時間(パルス幅)を1ミリ秒から300ミリ秒まで自由設定できるようにし、
最高出力は十分な脱毛効果が期待できる45 J/cm2を確保しました。
ところで、脱毛用のハンドピースの波長は700nm、美顔用のハンドピースは560nmですから、
それらを使い分けるにはそのたびにハンドピースを機械本体に差替えなければなりません。
実際に差替えるのには10分くらいかかる面倒な作業となります。
多目的汎用機と謳うからにはハンドピースの交換が簡単でなければならないとおもいます。
P-NAINではハンドピースポートを2ヶ所搭載して機械の操作画面で瞬時(といっても4~5秒ですが)に切り換えることができるように設計しました。
また、美顔施術の中で肝斑に対しては640nmという波長のハンドピースを使用しなくてはならないのですが、
ハンドピースそのものを交換するとなると、今説明しましたように面倒なものです。

560nmから640nmへは出力設定などを変更する必要がありませんので、このようなフィルターをハンドピースに被せるだけで済むように設計しました。
このような外付けフィルターは幾つかのメーカーが採用しているのですが、問題はフィルター膜がガラス面から剥げ落ちやすいということです。
波長カット機能は機械の命ですから、それが剥げるというのは致命的なのです。

これは某メーカーの新品のフィルターですが、未使用の段階でこんなにフィルターがはげ落ちています。
試行錯誤した結果、フィルターをサファイアガラスの中に封じ込めることに成功したのですが、これにはとても苦労しました。
半永久的で、自信作です。

これで、3種類の光線を簡単に切り換えることができます。美顔用には黄色、肝斑にはオレンジ色、脱毛には赤です。
(525nmという黄色の光線を用いている脱毛機もありますが、
私は危険だとおもいます)

「押す・拭く・ジェル」ができるようにハンドピースに冷却装置とサファイアガラスも組み込みました。
ハンドピースの先端は常に2℃に保たれています。
これによって脱毛モードではパルスディレイという設定ではなく、ライトシェアと同様に強力なシングルパルスでの施術が可能となりました。
(美顔モードではフォトフェイシャルと同様にパルスディレイを使用できます)
脱毛効果について

なにか新しい機械なり設定を試みる際には、私はまず自分の身体でテストを行なうようにしています。
これは私の左腕ですが、光線1発の持続時間を25ミリ秒として最高出力の45Jでテストしてみました。
(急いでいたのでカミソリで傷つけてしまいました・・・。赤いのもそのせいです)
毛穴の周りが膨隆しているので十分な脱毛効果が認められますし、同時に行なったライトシェアの最高出力での反応と遜色ありません。

ボランティア女性のヒザ下です。光線持続時間を30ミリ秒にしてライトシェアと比較してみました。
この人の場合はライトシェアの24Jの反応はP-NAINでの30Jくらいのようです。

ボランティア女性のヒザ下です。25Jという比較的弱い出力で光線の持続時間を25ミリ秒から50ミリ秒に変えてみました。
この例では35ミリ秒での反応が良いようです。
(P-NAINでは、このように持続時間を1ミリ秒から300ミリ秒まで自由設定できますが、これは世界発のはずです)
P-NAINは完成して日が浅いですので長期的な効果は不明ですが、何万人もの施術経験がありますので照射直後の反応をみればおおよその想像はつきます。
直後にきちんと反応がみられた場合の長期的効果には私は楽観的です。
また、こちらは私の乳輪部に照射してみたものですが、
問題なく永久脱毛できるようです。
私の関心はライトシェアに比較して、どれくらいの能力があるかということです。
出力数値で表現するとP-NAINの最高出力である45Jはライトシェアの40J前後ではないかというのが今の段階での印象です。
そして少しでもライトシェアに近づくような設定を探してみたいとおもっています。
美顔効果について
脱毛の効果を先に調べようということで、美顔については未だ結論がでていません。
しかし、美顔モードでの機械設定はフォトフェイシャルの場合と全く同じ設定を再現することができます。
実際のところ、
肝斑に対する操作性はフォトフェイシャルよりも優れていると自負しておりますし、
火傷(ヤケド)防止の安全対策であるグリッドスペーサーも装着できますので、
私としては効果については再検証の必要性を急いではおりません。

美顔ハンドピースにグリッドスペーサーを装着したところ
それよりもフォトフェイシャルでできなくてP-NAINでできるものを見つけたいと考えております。
ニキビ:ヤグレーザーとプラズマジックジェルを用いたフォトリボーンと同じことがP-NAINでもできるようです。
P-リボーンと呼ぶことにします。本例はP-リボーンとトレチノイン酸を併用したエステサロン・シャルム新宿店と渋谷高橋医院のコラボレーションです。
こちらを御覧ください。
シミ(花弁状色素斑):花弁状色素斑という言葉は聞き慣れないとおもいますが、日焼けの後にできるやっかいなシミです。
悩む人は多いのですが確実な治療法がないために関心をいだく医師はごくわずかです。P-NAINで行なったところ、とても良い結果が得られました。
こちらを御覧ください。
2004年4月10日
東京都商品等の安全問題に関する協議会から「エステティックサロンにおけるレーザー等を利用した脱毛機の安全性について」という報告がでました。
原本はこちらです。
重要な内容ですので少しコメントさせていただきます。
危害の未然防止を図るため事業者団体による安全性向上への自主的な取り組みを促進するよう求めるとありますが、
そもそも厚生労働省はサロンでのレーザー脱毛等は医師法違反であるという見解を出しております。
すべからく全てのレーザー脱毛等が違法であるというのであれば、そもそもこのような報告がなされるわけはありません。
安全に注意して行なっても医師法違反であることはかわりないはずなのですから。
良い機械を正しく使用すれば、医師でないエステティシャンが行なっても医師法違反にはあたらないという
私の従来からの主張を東京都は支持してくれたことになります。
サロンにおけるレーザー脱毛機等の安全性に関する提案の中の機器の安全性という項目は(ア)~(オ)までありますが、
(エ) 皮膚の熱傷発生を防止するため、レーザー脱毛機等本体に施術部分を冷却する機能を設けること、または、それに変わる施術上の対応措置を取ること
とあります。
施術部分である皮膚を冷却する機能が本体に設けられているサロン用脱毛機はP-NAINだけです。
また、それに変わる施術上の対応措置とは、まさにクールチップにほかなりません。
話を整理いたします。
東京都は今回の安全基準をクリアするという前提でエステ脱毛を容認した。
安全基準を確実に満たすのはP-NAINだけである。
数ある脱毛機の中で東京都が示した安全基準をクリアしているのは、私がこの数年で開発したシステムだけということになります。
開発にはそれなりに苦労しましたので、とてもうれしいというのが今の気持です。
2004年11月9日
冷却能力を向上させたP-NAIN2が完成しました。こちらを御覧ください。
2005年10月3日
電力消費を押さえたP-NAIN3、そしてそれによって最高出力を60JまでだせるようになったP-NAIN EXを発表します。こちらを御覧ください。






















