蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹は急性皮膚病の一つです。
元来は全てアレルギーが関与していると考えられていました。
しかし最近では、必ずしもアレルギーだけが蕁麻疹を引き起こす誘因とはいえないことが明らかになっています。
蕁麻疹が発生する原因は様々ですが、多くの蕁麻疹は根気よく治療することで改善が可能です。
いずれにしても、皮膚科専門医の診察を受け適切な治療を行っていくことが大事です。
はじめに
蕁麻疹は皮膚の浅い層に大小様々な部分的なむくみや膨隆疹(ブツブツ)、紅斑(赤み)が出現し、強い痒みを伴う症状のことを言います。
症状によってはチクチクとしたり、焼けるような熱さを感じることもあります。
蕁麻疹と聞くと、子供に起こりやすい疾患の一つ、と思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
蕁麻疹の原因は人によってそれぞれ違うことが多いですが、子供特有の原因に草や虫などに接触することもあげられます。
自然で遊ぶ機会の多い子供は、半ズボン、半袖で動き回ることが多く、大人とは異なる原因で蕁麻疹になりやすいとう意見もあります。
また、果物やお菓子など子供が口にしやすい食べ物から原因を探っていくこともできます。
特に着色料、保存料、酸化防止剤など食品添加物は判明しにくい原因の一つです。
更に大人よりも子供のほうが免疫力が弱く、風邪などを引きやすいことも挙げられます。
ウイルス性の風邪は全身に様々な病気の諸症状を併発する事があるため、比較的蕁麻疹も発症しやすいと考えられています。
病因・誘因
蕁麻疹を引き起こす原因は人により異なり様々です。
蕁麻疹の種類は基本的に蕁麻疹の原因によって分類されます。
例えば魚介類などの食べ物を口にしたことで発症したものなら「アレルギー性蕁麻疹」と言えますし、ストレスが原因なら「心因性蕁麻疹」といえます。
また、暖かい部屋から寒い外に出たり、寒い外から暖かい部屋に入った際に出るものや、
下着やバックなどの締め付けで部分的に出るもの、運動後の発汗によって出るもの、
夕方や夜など決まった時間に出るものなど蕁麻疹が発症する原因は私たちの日常の中に多々あるのです。
蕁麻疹の本質は、皮膚の中の小さな血管が一時的に膨らみ、血液の中の血漿と呼ばれる成分が周囲に滲み出た状態にあります。
皮膚の血管の周りには、マスト細胞と呼ばれる顆粒が多く詰まった細胞が散らばっていて、
この細胞が顆粒を放出すると、血管がその成分に反応して蕁麻疹を生じます。
顆粒の中に含まれる主たる作用物質はヒスタミンと呼ばれ、皮膚の血管に働くと血管を拡張し、血漿成分を血管の外に放出させます。
血管には目には見えない程の小さい穴がたくさん開いています。
ヒスタミンの分泌により、血管が拡張してこの穴が広がります。
穴より大きな赤血球や白血球は漏れませんが、血漿と呼ばれる血液の液体成分は漏れて、血管の外に滲み出て皮膚の一部が盛り上がります。
そのために蕁麻疹の症状である皮膚の表面に膨隆と紅班が現れます。
また、ヒスタミンは痒みの神経を刺激するため、蕁麻疹には痒みが伴います。
分類
経過による分類
・急性蕁麻疹
・慢性蕁麻疹
発症機序による分類
・アレルギー性蕁麻疹
・非アレルギー性蕁麻疹
発症誘因からみた特殊型
・物理性蕁麻疹 ・・・ 機械性蕁麻疹、 寒冷蕁麻疹、 日光蕁麻疹、 温熱蕁麻疹、 コリン性蕁麻疹
・接触性蕁麻疹
その他の特殊型
・クインケ浮腫
クインケ浮腫とは・・・
原因は不明の事が多く、突然口や唇、目の周りの局所性浮腫が起こる状態です。
アレルギーによるものだと言われたりもしますが、原因なしに起こる場合もほとんどです。放置していても数時間くらいで元の状態に戻ります。
また全身疾患がない場合も多いです。
ですから「突発性局所性浮腫」ともいいます。
口腔内や咽頭に発症することもあり、その際には呼吸困難に注意しなければなりません。
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、点滴などを行うことで症状を抑えることが可能ですが、原因が不明なだけに再発を防止することは困難だといえます。
症状
蕁麻疹の多くは痒みを伴うことが基本です。
通常の蕁麻疹は地図状の大きな膨疹ができますが、中には2~3cmくらいまでの小さな膨疹が身体や腕にたくさんできることもあります。
数分~数時間で次第に消失していきますが、再発を繰り返すこともあります。
この再発が1ヶ月以内に治まらないままで、いつまでも再発を繰り返すものを「慢性蕁麻疹」と呼びます。
蕁麻疹の特徴は痒みや赤みだけとはいえません。
症状が激しい場合には次々と新たな膨疹が出現し、範囲も拡大していきます。
形も様々で、円形、線形、環状、地図状などいろいろですが、形自体は特に意味を持ちません。
皮膚描画症といって、強くこすったり、重い買い物袋などを手にかけてその重みで皮膚が強く圧迫されたり、
下着などで強く圧迫された部位の皮膚がミミズバレの様に赤く盛り上がるような症状もみられます。
(皮膚に字を書けば、その字が浮き上がって見えます。従ってこのような名前がついたのです)
重度のケースでは、気道内に浮腫を生じ、この場合ですと呼吸困難を併発し死亡することもあります。
治療
急性蕁麻疹
一般的に急性蕁麻疹の治療には抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使用します。
重症の場合は点滴や注射を行います。
外用薬としては抗ヒスタミン製剤の軟膏などが効果的です。
蕁麻疹の治療は、原因が分かっていれば比較的難しいものではありませんが、
多くの場合、原因の特定は困難であり認識されないままであることが現状です。
原因がはっきりとしていれば、原因物質を避けている限り蕁麻疹の発症は起こりません。
患者様が御自身の蕁麻疹の正確な原因を認識することが、まずは最良の対策といえます。
慢性蕁麻疹
何度も症状が出てしまう慢性蕁麻疹の治療も抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の服用が主になります。
病勢をみながら数ヶ月の内服が必要ですが、患者様のペースに合わせて内服量を漸減していきます。
当院では、お子様から成人された方、一人一人の症状に合わせ適切な治療と薬を処方させていただいております。
原因の特定出来ない慢性蕁麻疹の場合、自分自身では発症を避けることは難しく、
数ヶ月あるいは数年にわたり蕁麻疹の発症を繰り返し、悩まされる患者様も珍しくありません。
皮膚科で専門医の診察を受け、正しい治療を行っていけば必ず蕁麻疹の症状は改善されていきます。
当院でも1回きりの診察だけでなく、その後の経過や再発時にも診させていただくことで、患者様と共に根気強く蕁麻疹の治療に向き合っております。





















